ゴダール他「ベトナムから遠く離れて」ベトナムから遠く離れて [DVD]を見る。
ベトナム戦争は、初めてメディアが介入した戦争。戦争はメディアを通してあらゆる時間あらゆる場所へと伝えらる。つまりベトナム戦争は、ある意味お茶の間で楽しむことができる(同時に悲しむことができる)戦争となる。それによって暴力までも飼いならすことができるようになった。「戦争はたやすいものとなる」と語るように、戦争はメディアによって反復され、表象される――そこではテレビやマンガ、映画など様々なメディアが介入する。
そのような状況の中ゴダールは自らベトナムへと訪れるのではなく、フランスのパリでその戦争をカメラ・アイによって捉えていこうとする。ロブ=グリエとの差異を認識しながらも、ゴダールはカメラアイによって戦争を認識していくことが、自分にできることだという。なぜなら、仮にベトナムへと赴いたとことで、決して自分がベトナム人になることなどできないのであり、そのような態度は結局メディアによって飼いならされた戦争をあるスペクタクルとして眺めることになりかねない。それよりも彼は、カメラアイによってできるだけ世界を客観的に捉えることを選ぶのである。