『贈与論』→『悲しき熱帯』

■マルセル・モース『贈与論』訳有地亨頸草書房(1962)を読み終える。
メモ
贈与の理論においては、あらゆる諸事実(道徳、社会、政治、家族、経済、富)が常に全体的な関係性によって相互に結束しており(全体的社会事実faits sociaux totaux)、そこにおいて交換され、贈与される物(res)は、生命を有する霊的なものとして扱われる。
そのため物を受け取った者は、その返礼を行わなければその名誉、地位を失ってしまうという危険な状態である。モースはそれを担保=賭(engagement-parti)の試練と考えている。[補足:engagement→gage=担保、質、物質、賭金、給料]

我々は、それら(社会)を全体として考察することによってのみ、その本質、全体の活動、躍動する様相を窺い知ることができたし、また、社会やその成員が、みずからを、あるいは他者に対する自らの地位を情緒的に意識する、逃しやすい瞬間を捕捉することができたのである。…我々は人の集団、活動力がそれぞれ環境や感情に埋没されているのを認めるのである。(254-255 第四章結論)

次年末に購入したレヴィ=ストロース『悲しき熱帯』を読む予定。