クラウス→ダミッシュ

L'Amour Fou: Photography and Surrealism
■クラウス"Corpus Delicti"を読み終える。
→1985年出版。クラウスやエイズバタイユのアンフォルムやシュルレアリスム写真に対する初期の記念碑的論文。自分の関心から言えば、クラウス「シュルレアリスムの写真的条件」における「シュルレアリスム写真=間隔化/二重化」の議論の元になるものと思ったが当時の写真=二重化の写真という議論はなされていないのが残念。議論自体はシュルレアリスム写真をアンフォルム・擬態(カイヨワ)・タブロー(ラカン)・不気味なもの(フロイト)の議論に基づいて展開していくことで、これをシュルレアリスムあるいはブルトンの議論と結びつけるというもの。この議論自体は彼女の後の議論においても一貫していると考えられる。しかしながらバルトの写真論(『明るい部屋』)にも手を伸ばすなど、彼女の論理展開には一貫性が欠けるものがあるともいえる(…いつものことだが、彼女の議論に振り回されまくった。正直な話、やっぱりクラウスの論文を読むのはあまり好きではない)。一体バルトの写真論を展開する必要があったのだろうか?
などなど疑問を多く残しつつ何とか読み終える。
またこの論文では、バタイユのテクスト(『ドキュマン』など)そのものは、それほど議論されておらず、一般的なアンフォルムの定義と同じもの。→バタイユ自身のテクストや議論を分析した論文を探すべし。→ダミッシュの論文。