[映画]

ヴァンダの部屋 [DVD]

ヴァンダの部屋 [DVD]

フォンタイーニャス地区というポルトガルのスラム街を撮影したドキュメンタリー/フィクション。ここでは、特にカメラのフレームに注目してみたい。この映画は、すべて固定ショットによって撮影されるため、そのフレームは内部と外部の境界としての機能を持っている。そのフレームを境にして対話者(フレーム外からの声)、工事の音など常に外部の他者が侵入してくる。またこのフレームはほとんどが部屋の中から撮影され、奥には外へと開かれた扉を置くことで、部屋の内部と外部の関係へと結び付けられる。(これはシュルレアリスム「窓」の使い方とよく似ていると思う。)そのため、人物の動線はほとんどが前後の反復となり、登場人物はフレームという内部から脱出することができない。
だが最終的には、前半で常にフレームを覆っていた壁が、象徴的に破壊されることで、内部と外部の関係は崩壊する。それによって一本の木を中心にした最後のショットでは、左から右へとフレームを越え出る動きが与えられるのである。
3年間を3時間で・・・しかし長い。
http://www.cinematrix.jp/vanda/