見た映画。
■『ロシアン・エレジー ELEGY FROM RUSSIA』(1993)
監督/アレクサンドル・N・ソクーロフ
→現在死ぬ間際にある人物の過去の記憶を写真の連続によって辿っていく。この写真の連続によって映画を構成する方法は、「ラ・ジュテ」とよく似ている。だが、この映画の場合、過去の写真には常に現在の音が重ねられている。それによって、写真それぞれに連続性を与えず、また時間的連続性をも持たない写真=断片的記憶としてシーンが提示されている。つまり、この映画は、グリフィスのような映画的な連続性(つなぎ)を断ち切るために「音」を利用しているということができる。
エルミタージュ幻想』ではこれとは反対の用法によって、映画的連続性が否定されている。『幻想』では、1ショット=1シーン=1シークエンスによって、従来の映画的連続性(時間性)のあり方を放棄しているということができる。個人的には『エルミタージュ幻想』のほうが面白かったな。