食肉処理施設

shirime2006-07-27

エリ・ロタールやエイゼンシュテインが撮影したラ・ヴィレット村は、現在科学の産業の都市として生まれ変わり、その当時の屠殺場があった痕跡はほとんど見られない。非常にきれいな場所であった。
この話を読んでいて思い出すのは、私の小学校の近くにあった食肉処理施設(やまたけ)。この付近は、いつも牛の排泄物の臭いとモゥモゥという牛の鳴き声が聞こえている。帰り道はなるべくあの付近を避けて帰っていた。
牛は殺されるとき、涙を流しながら大きな泣き声で鳴くという。この処理施設の周りには高い塀があり中を見ることはできないが、授業中に聞こえる大きな泣き声を聞いては、また食卓に並ぶために一体の牛が解体されたのだと思っていた、ということを最近何人もの同級生から聞いた。一度親に怒られたとき、あの場所に連れて行くぞと脅され、泣きながら謝った記憶がある。私が小学校のときあの場所は、何か恐ろしい場所であった。中を見ることができないため、その恐怖感と嫌悪感はいつまでたっても解消されることはなかったように思う。
今はその建物はなくなり、きれいな家が建っている。