左肩下がりのリクルート

shirime2006-07-30

■結婚式の前に、澤田知子「マスカレード」展に行ってきた。
聞くと、女性のお客さんのほうが多いようである。彼女の作品に一貫しているのは、「顔」というマスクによって、IDを複数化することだと思う。
コギャルシリーズの続きとして製作された今回の「マスカレード」は、かなり大きめのパネルにそれぞれ別の顔をしたキャバ嬢がかなりの光を当てられ、ポーズを決めて撮影されている。それとは対照的に、もう一つの新作「リクルート」シリーズは、証明写真サイズで一つのパネルに100枚の写真がグリッド状に配置されている。当然のことながら、このリクルート写真は、「マスカレード」とは異なり、ポース、そして服装(リクルートスーツ)はすべて同じである。それゆえに、そのIDを特定するのは、それぞれの「顔」の化粧、髪型である。しかし、この写真シリーズには、ほとんどが同じ特徴であるがゆえに、別の特徴をも暗に示しているように思った。それはとりわけ、多くの場合彼女の肩は左(右だったかもしれない)に下がっているということであり、それこそ澤田の身体そのものがもつIDを示しているものではないか。そんな気がした。
ちなみに、写真はコギャルシリーズの等身大写真。これだけ写真がオッケイとのことなので、いくときはカメラをお忘れなく。
■ジャン・パンルヴェScience Is Fiction: The Films of Jean Painlevé (The MIT Press)』に関する書評が掲載されている→少し下にあります