『NIPPON』

shirime2006-10-24

偶然に名取洋之助の『NIPPON』を貸していただいた。
http://www.kokusho.co.jp/series/nippon.htm
→気づいた点を書いておく。名取洋之助が主幸する日本工房が1934年10月から刊行した『NIPPON』は、コート紙を使用し、グラビア印刷によって、様々な写真を組み合わせることによって構成されている。この雑誌にはフォトモンタージュのような写真はないが、この雑誌は、奇抜なレイアウトや大きさによって写真を組み合せたり、また写真に対して十分な余白が与えたり、ページ全体に写真を配置したりと、複雑な方法によって、読者に写真を引き付ける。そのため、テクストもその写真に合わせて、配置されている。つまり、ほとんどの場合が単に文章を羅列するだけではなく、写真を見せる場合には、なるべく文章を減らしたり、さらに文字のフォントやサイズも工夫されている(これらの雑誌構成は『ドキュマン』にはない。ここから『ドキュマン』が初めはテクストを中心として構成されたということができると思う。)またその写真においても、一般的なドキュメンタリー写真もあるが、そのなかにも仰角や俯瞰ショット、形態的な類似などの視線を誘導するように撮影されているものが多い。
この雑誌の広告に関して言えば、三越や三菱、明治など現在でもかなり有名なとこが多かった。またそこでも多くの写真が用いられている。
内容はよくわからんが、桃太郎や浦島太郎がイラスト付で紹介されているのには驚いた。これもすでに「ニッポン」的なものとして世界に紹介されていたとは。