文化解体の想像力
■『文化解体の想像力』を読み終える。注目すべき論文。
・浅利誠「レヴィ・ストロースとブルトンの記号理論」
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・ジャン・ジャマン「人類学とモダニティ」
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・守中高明「贈与と驚異――『ナジャ』論」
→ブルトンにとって主人公のナジャは「象徴的ゼロ価値」(レヴィ・ストロース「浮遊するシニフィアン」)。
ブルトンにおいて問題なのは終始「象徴的ゼロ価値」の運動がいかに諸記号の体系をダイナミックに揺さぶり、記号の諸系列を攪乱してその中からいかに特権的なシニフィアンとの出会いを引き出すかということなのである。(本文373ページ)
・谷川渥「ブルトンとピカソ――接近遭遇」
→ブルトンとピカソとの差異を民俗学的な見地から既定。ブルトン―オセアニア(メラネシア)美術。シュルレアリスム同様想像の世界、眼に見える世界よりも空想の世界の表現を目指す。「絵画的」。色彩や平面性・幻想性を重視。ピカソ―アフリカ美術。キュビズム同様、基本的に眼に見える世界の具体的な現実に根ざしている。「触覚的」。構造的、構成的。