フロイト「ヒステリー研究 上/下」(ISBN:4480088326 ISBN:4480088334)終了。
■メモ
フロイトとブロイアーとの共同によって書かれた本書は、多くの共通点があると同時に決定的な差異も存在する。フロイトがヒステリーの原因として性的トラウマの重要性を第一に考えていたのに対して、ブロイアーはそのような性的要因のみがヒステリーを引き起こすものではないと考えていた。

性とは関わりのない情動、すなわち驚愕、不安、噴怒といった情動からもヒステリー現象が発生するのは明白なことだ。(ブロイアー、(下)111ページ)

このような決定的な差異に対して、フロイトの議論には多くのブロイアーの理論が受け継がれている。それは、両者共に知覚装置と記憶装置とが相反する機能を持った別々の装置であるという点。さらにこのような議論は、後にフロイトの「快感原則の彼岸」(第四章)、「マジックノートに関するメモ」、「心理学構想」(第二部の三)のなかで展開されていく。また補足として、ブロイアーはこのよう知覚と記憶のあり方を「写真機」と「反射望遠鏡」のレンズのあり方に例えている。

…この知覚装置は、感覚印象を想起像として保存し、再現する器官とは異なるものであるに違いない。知覚装置が果たす機能の根本条件は、原状復帰を可能な限り迅速に行うことだ。…それに対して記憶を成り立たせる条件は、そうした原状復帰が起こらず、他方、ここの知覚によって作り出される変化が残存することだ。…反射望遠鏡の鏡が同時に写真機の乾板の役割は果たせないのである。(ブロイアー、(下)13ページ)

■次「フロイト著作集3 文化芸術論」(ISBN:4409310038)…やっぱり今年中には読み終わりそうにない。年末年始は短期バイトでほとんど読めなさそう。これが一番読みたかったのだが…特に「トーテムとタブー」