ロサンゼルスと犯罪性

チャンドラー『長いお別れ』を読み終える。
→ヴィドラーが指摘しているように、レイモンド・チャンドラーの小説の中では、ポーの物語のように、謎や犯罪の解明が最終的な目標となるのではなく、ロサンゼルスという空間全体が犯罪性を備えた町として描かれている。そのためチャンドラーが描くロサンゼルスは、古いヨーロッパのヒエラルキー化され分類された都市を破壊するかのように、非構造的な空間的性格が与えられている。そこで犯罪は、全く予期せぬ「つまらないアクシデント」であるかのように行われる。
ここでひとつ考えたいのは、彼の家という内部空間とロサンゼルスという外部都市空間のつながりについて。それは、電話である。チャンドラー自身もこの著作で、この電話の意味を指摘している。