正月はビデオでも見て過ごそうという人がたくさんいた。近くのツタヤは人がいっぱい。で僕はゾンビ映画を見ることにした。
ジョージ・ロメロ監督。この監督の作品は、管見の限りでは、物語構造は全部同じ。ゾンビ蔓延した世界のなか、人間だけの楼閣をつくり、空間的にゾンビと人間の境界を設定する。そして最終的には、その世界も崩壊し、生き残った人間だけが別の(ゾンビのいない)世界へと逃亡するシーンで終わる。

処女作。初めはゾンビの設定もあいまいだったようで虫でも何でも食べる。一応完全版を見たのだが、最後に登場する宗教家(ゾンビに噛まれたのに生きている)の熱弁がどうもよくわからなかった。恐らくここはカットされていたと思う。これが一番よくできているように思った。資本主義的、合理主義的世界から逸脱した存在としてゾンビを描き、それと対照的に資本の象徴とも言うべきデパートに人間の世界を形成する。
さらにこれも見る『ゾンビ』と内容はよく似て、デパートに小さな人間世界を形成し、経済的社会的束縛から自由な生活を送る。付け加えておくと、ゾンビが走っているのはこの映画だけ。すごく元気なゾンビ。近作。今や人間は、ゾンビに襲われることのない巨大な社会を形成し、ブルジョワ階級は何の恐怖も持つことなく生活を送っている。それに対して、ゾンビたち、見世物小屋に送られたり、射撃練習の対象となったり人間世界に完全に取り込まれてしまっている。こうした状況の中で(何故かよくわからんが)ゾンビたちは知能を持ち始めた。拳銃や斧など道具を使いこなし、疎外された自分たちの新たな居場所を求めて立ち向かう。もうここまでくれば、サルの進化を見ているようで少し感動的な気分である。