起き上がり

屍鬼〈上〉

屍鬼〈上〉

こちらに来てくれた方が置き土産として残して行ってくれたものでようやく読み終えた。簡潔に言えばムラというひとつの共同体のなかでの人間と「起き上がり」としての屍鬼との生存を賭けた物語である。この小説が面白いのは、一見すると屍鬼と人間、光と闇、内部と外部と明確な対立が描かれているにもかかわらず、実はそうした境界が鏡像的な関係でしかないということにある。そのため、この物語では人間は人間性を備えながらも他方で怪物のごとく、また屍鬼は自分の残酷さに苦しむ人間性を持つものとしてそれぞれが互いを希求するかのように描かれている。
ところで3月23日はイースターだそうだ。ここ2・3日家に引きこもっていたので、週末はイースターエッグを探しに僕も起き上がってみようと思う。