『トランジッション』と『ドキュマン』

shirime2005-11-15

■Archeo-logies of Modernity in transition and Documents 1929/30
RAINER RUMOLD, Comparative Literature Studies, Vol.37, No.1, 2000
→強引に読み終える。
・両対戦期間に出版された二つの雑誌『トランジッション』(1927−1938)と『ドキュマン』(1929ー1930)は、思想的展開にかんしては対立しているということもできるが、プリミティヴィズムな見方の文化的空間のなかでそれらは共に従来の伝統的西洋の合理的なものや道徳的なものから離れて、美学的制度や西洋の文化的な諸々の伝統や制度の同一性を問い直すものとなった。前者の中心人物がEugene Jolasであり、後者がジョルジュ・バタイユであり、カール・アインシュタインのマッソンやピカソの議論は(両方の雑誌にも執筆していたために)この二人の要素を同時に受け継いでいると、いうのがこの論文の中心軸。
またこの論文で中心的に論じられているのは、これまでほとんど論じられてこなかったEugene Jolasの『トランジッション』であり、それを従来の『ドキュマン』の議論や後の「聖社会学」と絡めて論じるというのがこの論文の醍醐味。
この論文で、『ドキュマン』を単にシュルレアリスムから見ていくのではなく、民族誌の視点からも捉えることができる。