ズレテル

ユベルマン読書会
ユベルマンによるトリノの聖骸布の具体的な分析の一つ目の方法は、布の染みからそれが徐々に形象をもち、それが形象的確実性として認識されさ、最終的には象徴的な(ここでは教義などの宗教的)意味を持つにいたっかのか、という過程をパースにおける記号論的な三分析(イコン・インデックス・シンボル)に当てはめて考えていくというもの。
そうであるのだが、どうもこの議論がズレているように思う。確かにパースの議論においてもイコン/インデックスの関係は、決して厳密なものではないが、ユベルマン聖骸布の議論がどうしてもイコン=インデックス、というよりも、イコン的な部分がないように思えてしかたがない。染みが類似的なイコン性を持った瞬間、それはすぐにインデックス的な、また接触的なものへと移行する。
もしかすると、次の議論で、細部を詳細に分析していると全体のパースペクティブが見えなくなるという留保はこのイコン性に対する留保かもしれない。

ユベルマン参照文献その1

近似的認識試論

近似的認識試論

世界という実験―問い、取り出しの諸カテゴリー、実践 (叢書・ウニベルシタス)

世界という実験―問い、取り出しの諸カテゴリー、実践 (叢書・ウニベルシタス)

あとデリダ、ジャン=リュック・ナンシー。