時間の経過

ユベルマン 細部の加工
このなかでユベルマンは、初めはカビにしか見えなかったような不定形な染みを詳細に見るという過程を経ることによって、何らかの形象をもつものとなるという考えをフロイトの二次加工の議論と重ね合わせている。つまり初めの不定形な染みとは無意識(フロイト)とみなされ、それが記憶痕跡として加工を受け、外部へと放出されること、それこそが形象を獲得する手段となる。
→前のパースの記号論的分析においても同じように、この議論には、それぞれ段階があり、時間の経過があるように思う。時間性については、ユベルマンは触れていないが、ユベルマンの空間的な形態の議論には、ほとんど時間の問題が含まれている。それがユベルマンの議論を多層的にしているように思う。