集中講義1

■絵画における物語
バルトやトドロフの物語分析を基にして、それを絵画イメージへと当てはめていく。そのパラレルな関係を見ていくことで、テクスト/イメージの差異を明確に捉えていくことがこの講義の一番の狙いだと思う。ここをはっきりと捉えること。ここで自分の問題に引き付けて考えると、例えばバタイユの小説『眼球譚』におけるテクストとそれに対するベルメールの挿絵の関係。もちろんここには、ベルメールのイメージは、バタイユのテクストを説明するために書かれたが、そこにもテクスト/イメージの差異はあるはず。
モンタージュのメモ
『ドキュマン』には、数多くのイメージが掲載されている。ユベルマンは、『ドキュマン』におけるイメージの連続を、主題的、形態的な類似/非類似を基にして、モンタージュとして捉えている。もちろんこのモンタージュとは、フォトモンタージュのように、イメージが空間的に組み合わされたものではない。単にイメージがページ上に配置されいるだけ。そのためユベルマンはこのモンタージュは空間的というよりも、時間的な関係で捉える。そこで問題となるのが記憶である。つまり、『ドキュマン』を読む観者は、この雑誌のイメージを前にして、自身の中の記憶(主題や形態の議論)を呼び起こし、その不適合な類似的接合関係を呼び起こされることになる。
しかし、ここでユベルマンは、どのようにしてこの記憶を呼び起こすかと言うことは何も説明していない。あえて言えば、その契機となるのは、視覚的イメージである。だがこうした記憶に関して場合、問題となるのは視覚だけではなく、身体そのものも問題となるのではないだろうか。つまり何らかの対象と接触したとき、その行為を契機として、何らかの記憶が呼び起こされるのではないだろうか。例えば、プルーストがそうであったように。