アルバム写真

■アルバム写真
を例えば見てみれば、そこに写るのは、自分の姿と思しき小さな子供の姿であるが、実際現在の私たちから見れば、もはやそこにはほとんど実際過去の記憶は存在しない。それは、時代遅れのファッションを身に纏ったくすんだ写真であり、オリジナルの過去を想起させることはない。ノスタルジーは、こうした写真の擬似的なリアリティによって作られる。このような写真によるオリジナルの消失は現在の私たちの記憶を消去し、死の恐怖の徴候さえ引き起こす。だからこの恐怖から逃れるために、日夜私たちは断片的記憶=写真を収集せねばならない。つまり、写真を収集し、そこに一連の物語を与えることで、アルバムは完成する。…大体こんなことを言ってる。結婚式の行事にもなっている「アルバム写真」なるものは、二人の過去の記憶を振り返ると同時に、現在の自分たちの存在を保証し、さらにはその行事自体が未来の記憶へとつなげる重要な役割なんだと改めて思う。過去を喚起させると同時に未来を指向させる現在そこにある写真、それがアルバム写真。
これに加えてもうひとつバルトの議論も。